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別当御房御返事

第一巻 定本番号 149 文永11(1274) 分類: 真蹟曽存

祖寿: 53 著作地: 身延 真蹟: 身延山(曽) 

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    149   別当御房御返事
聖密房のふみにくはしくかきて候。よりあいてきかせ給候へ。なに事も二間清澄の事をば聖密房に申あわせさせ給べく候か。世間のり(理)をしりたる物に候へばかう申に候。これへの別当なんどの事はゆめゆめをもはず候。いくらほどの事に候べき。但な(名)ばかりにてこそ候はめ。又わせいつをの事、をそれ入て候。いくほどなき事に御心ぐるしく候らんと、かへりてなげき入て候へども、我恩をばしりたりけりと、しらせまいらせんために候。
大名を計ものは小耻にはぢずと申て、南無妙法蓮華経の七字を日本国にひろめ、震旦高麗までも及べきよしの大願をはらみ(懐)て、其願の満べきしるしにや。大蒙古国の牒状しきりにありて、此国の人ごとの大なる歎とみへ候。日蓮又先よりこの事をかんがへたり。閻浮第一の高名なり。先よりにくみぬるゆへに、まゝこ(継子)のかうみよう(功名)のやうにせん心とは用候はねども、終に身のなげき極候時は辺執のものどもも一定とかへぬとみへて候。
これほどの大事をはらみて候ものの、少事をあながちに申候べきか。但東条、日蓮心ざす事生処なり。日本国よりも大切にをもひ候。例せば漢王の沛郡ををもくをぼしめししがごとし。かれ生処なるゆへなり。聖智が跡の主となるをもんてしろしめせ。日本国の山寺の主ともなるべし。日蓮は閻浮第一の法華経の行者なり。天のあたへ給べきことわりなるべし。
米一斗六升、あはの米二升、やき米はふくろへ。それのみならず人人の御心ざし申つくしがたく候。これはいたみをもひ候。これより後は心ぐるしくをぼしめすべからず候。よく人人にしめすべからず候。よく人人にもつたへさせ給候へ。恐々謹言   乃時   別当御房御返事