窪尼御前御返事
書下し
窪尼御前御返事
[1]十字五十まい(枚)、くしがき(串柿)一れん(連)、あめをけ(飴桶)一つ送り給ひ了んぬ。
[2]御心ざしさきざきかきつくして、ふでもつひ、ゆびもたたぬ。三千大千世界に七日ふる雨のかずはかずへつくしてん。十方世界の大地のちりは、知る人もありなん。法華経の一字供養の功徳は知りがたしとこそ、仏はとかせ給ひ候へ。これをもて御心へあるべし。恐恐謹言。
[3]<日>十二月二十七日日>
[4]<人>日 蓮<花押>花押花押>人>
[5]<先>くぼの尼御前御返事先>
現代語訳
窪尼御前御返事
弘安二年(一二七九)一二月二七日、五八歳、於身延、和文、定一七二〇頁。
[1]蒸餅五十枚、串柿一連、飴桶一箇、お送りいただきました。お礼申し上げます。
[2]法華経をご供養なさるお志の深さについては、前々から、筆がすりへり、指がくたびれるほどに書きつくしました。三千大千世界に七日間降る雨粒の量を数えつくすことはできるでしょう。また十方世界の大地に積もる塵の量を知る人はあるに違いありません。それに反して、法華経の一字を供養しただけでも、その功徳の数量は知りつくすことができないほどに大きいと仏はお説きになっていらっしゃいます。この教えによって、法華経供養の功徳の深大さを、よくよくお心得ください。恐々謹言。
[3]<日>十二月二十七日日>
[4]<人>日 蓮 <花押>花押花押>人>
[5]<先>窪の尼御前御返事先>