妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

上野殿御返事

全集 第7巻 2段 定本: #20359(定本の該当ページへ)

書下し

上野殿御返事うえのどのごへんじ


[1]十字*むしもち六十枚・清酒一筒すみざけひとつつやまのいも五十本・柑子こうじ二十・串柿くしがき一連送り候ひおわんぬ。
[2]法華経の御宝前にかざり進らせ候ふ。春の始めの三日、種々の物法華経の御宝前に捧げ候ひ了んぬ。
[3]花は開きてこのみとなり、月は出でて必ずみち、燈は油をさせば光を増し、草木は雨ふればさかう。人は善根をなせば必ずさかう。その上元三がんざんの御志元一がんじつにも超へ、十字のもちい満月のごとし。事々またまた申すべく候ふ。
[4]弘安三年〈庚辰かのえたつ〉<日>正月十一日
[5]<人>日 蓮<花押>花押
[6]<先>上野殿
現代語訳

上野殿御返事


弘安三年(一二八〇)正月一一日、五九歳、於身延、和文、定一七二九頁。

[1]むしもち六十枚、清酒一筒、やまのいも五十本、蜜柑みかん二十箇、串柿一連お送りいただきました。ありがとうございました。
[2]法華経の御宝前にお供えいたしました。折しも新春の三日、法華経の御宝前を種々の御供えもので荘厳できましたことを嬉しく思います。
[3]花が開いてやがて果実がなり、月が出てやがて満月となり、灯火は油をさせば明るく輝き、草木は雨が降れば勢いを増します。そのように、人は善いことをすれば必ず栄えます。普段でもそうなのですから、正月三日のお志は、元日に奉納なさったご供養に輪をかけてご功徳が多いことでしょう。蒸が満月のように目に映りますよ。委細はまた後日申し上げます。
[4]<日>弘安三年〈庚辰〉正月十一日
[5]<人>日 蓮 <花押>花押
[6]<先>上野殿