越州嫡男並妻尼事
書下し
越州嫡男並妻尼事
[1]九月九日の鴈鳥、同十月二十七日、飛来仕り候い了んぬ。
[2]そもそも越州の嫡男、並びに妻尼の御事、是非を知らざれども、この御一門の御事なれば、謀反よりの外は異島流罪は過分の事か。はたまた四条三郎左衛門尉殿の便風、今に参り付かざるの条、何事ぞや。定めて三郎左衛門尉殿より申す旨候か。
[3]伊予殿の事、存外の性情、智者なり。当時学問隙なく(後欠)
現代語訳
越州嫡男並妻尼事
弘安四年(一二八一)一〇月二七日、六〇歳、於身延、富木常忍宛、原漢文、定一八八九頁。
[1]九月九日付のお手紙、同十月二十七日に到着いたしました。
[2]さて、越州の嫡男(北条修理亮時光)とその妻尼が流罪に処せられたとのこと、その是非については存じませんが、北条一門の御事でありますから、謀反でもない限り、遠島への流罪は過酷な処罰でありましょう。それにしても、この件について四条三郎左衛門尉(四条金吾)殿の便りがまだ届かないのは、どうしたことでしょうか。きっと三郎左衛門尉殿から何か連絡があるでしょう。
[3]伊予殿(日頂)は、きだてがよく、智者であります。現在学問に精進して…(後欠)