妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

土木殿御返事

全集 第6巻 2段 定本: #131(定本の該当ページへ)

書下し

土木殿御返事ときどのごへんじ


[1](前欠)つかまつり候なり。褒美ほうびにあらず、まこと器量者きりようものなり。来年正月、大進阿闍梨*だいしんあじやり越中えつちゆうにこれをつかわし去るべし。白小袖しろこそで一つび候いおわんぬ。今年日本国一同に飢渇けかちの上、佐渡の国には七月七日已下、天よりたちまちに石灰虫いしばいむしと申す虫雨下あめふらし、一時に稲穀とうこく損失しおわんぬ。その上、疫々処々に遍満し、方々かたがた死難のがれ難きか。事事ことごと紙上にこれを尽し難し。恐恐謹言。
[2]<日>十一月三日
[3]<人>日 蓮<花押>花押
[4]<先>木殿御返事
現代語訳

土木殿御返事


文永一〇年(一二七三)一一月三日、五二歳、於佐渡一谷、原漢文、定七五四頁。

[1](前欠)…いたしました。別にめるわけではありませんが、まことに才能の優れ、資質のある人です。来年の正月には、大進阿闍梨とともに、この人(富木常忍の義子である伊予房か)を越中の国へ行かせるつもりです。ところで、白小袖一枚ご供養いただき、ありがたく拝受いたしました。今年は日本国は一同に飢饉に見舞われておりますが、佐渡の国では七月七日以来、天から突然、石灰虫という害虫が雨のように降ってきたために、たちまち稲や穀物を損失してしまいました。そのうえ疫病もいたるところに蔓延して、多くの人々は横死の災難から逃れられないでありましょう。いろいろと申し上げたいこともありますが、紙上ではとうてい尽くせません。つつしんで申し上げます。
[2]<日>十一月三日
[3]<人>日 蓮 <花押>花押
[4]<先>土木殿御返事