正当此時御書
書下し
正当此時御書
[1](前欠)正しくこの時に当たる。しかも随分の弟子等にこれを語るべしといえども、国難・王難・数度の難等重々来たるの間、外聞の憚これを存し、今に正義を宣べず。我弟子等定めて遺恨あらんか。また抑時の失これある故、今ほぼこれを註す。志あらば度々これを聞き、それを終て後これを送れ。ことごとく三度を以て限りとして聴聞をなすべし。その後、(後欠)
現代語訳
正当此時御書
文永一〇年(一二七三)四月頃、五二歳、於佐渡一谷、原漢文、定七二三頁。
[1](前欠)今はまさしくこの時にあたります。しかし、多くの弟子たちにこのことを語らねばなりませんでしたが、蒙古国書の到来・伊豆流罪・佐渡流罪など多くの迫害がつづいたことや、世間の憚りもあり、今まで正義を宣べませんでした。わが弟子たちはさぞかし残念に思っていることと思います。今はまさしくその時にあたりますので、おおよそのことを書き記しておきます。志あらば、たびたびこれを聞き、終えてのちこれを送って下さい。ただし聴聞はみな三度を限度として下さい。(後欠)