妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

尭舜禹王鈔

第三巻 定本番号 3 寶治1(1247) 分類: その他

祖寿: 26 著作地: 遊学中 

    4   堯舜禹王鈔
第四堯王、太子丹朱を棄て、瞽叟が子重華を召て位を継す。所以は堯王、禹と云大臣を召て位を継すべき者や有、と問給に、答云重華と云者あり。父はかたくな(頑)也。母はまゝひすらこし(噐)。弟の象と云者はおごれり。雖然父をも母をも弟をもあだまず。母瞽叟に語て云、重華我をなぶると云て、瞽叟にかく(斯)してみするに、時に母むねにはち(蜂)をつゝみて是をとれと云。重華是をとる。瞽叟是を見て実になぶると思けり。然間毒をのまするに死せず。家の上にのぼせて火をつけて焼に、唐笠を以てとびて不死。又井を掘に銭を土につけて出す。銭尽て掘うづみぬ。重華よこ穴をほりて死せず。さて父母を離て山に入、木をこり市にうりけるに、弟の象めくらに成て市を乞食す。重華是をみて銭をとらす。日数をへてのち、父母、弟の象と三人共に目つぶれて、又件の市を乞食す。重華薪をうりけるが、是をみて父の瞽叟をひざにかきのせて泣けり。其涙落て父の眼に入て、忽に目あきぬ。さて三人共に山に入てすぐる程に、有時堯王、禹を召て可継位者や有と御尋あり。禹答申す、重華と云賢人有と。堯王太子丹朱を棄て重華を召て位をつがする。第五の舜王是也。又舜王太子商均を棄て民に位を継す。夏の禹王是也。
孔子の弟子に曽参と云者あり。孔子の使に西国へ行に有三道。一は山道、二は海道、三は勝母道と云。三が中の勝母と云道は直道也。山道は師子・虎・狼多し。此道は卯時に入て酉時に出る道也。然に曽参がつれ十人あり。九人が云、直道なれば勝母を行んとて是にかゝる。曽参が云、母にかつと云道なれば不行とて一人山道にかゝりぬ。然に九人は勝母にかゝりて夜打に被打死。人来て曽参が母に語る。曽参は夜打にうたれて死たりと告ぐ。母不驚云けるは、曽参は仁・義・礼・智・信を先とする者なれば、故なくしては不可死。其故は曽参は五の徳あり。一には山に入て木をきりけるに、木の頭を打せて是をやみしに、父母日夜是を歎く。己れがなやみの苦をねう(忍)じ、父母の心をやすめんが為にをきて、琴を引て父母の心をやすめき。二には梟鳥が家の内に巣をくひしを見て、梟と云鳥は母をくらふ。梟は土を子とすと云。破鏡と云鳥は生て七日と云に父を食す。破鏡は菓を子とすと聞。然ば不孝也。されば此家を去給へと云しを聞て、鳥去にき。三には鄰に母を打ものありしかば、をぢをそれて栖をさる。如此五孝あり。孝養の者なれば争か天も捨給べき。よも不死と云へり。不違死せざりき[云云]。