四條金吾殿御返事(八日講御書)
424 四條金吾殿御返事
満月のごとくなるもちゐ(餅)二十・かんろ(甘露)のごとくなるせいす(清酒)一つつ給候了。春のはじめの御悦は月のみつるがごとく、しを(潮)のさすがごとく、草のかこむが如く、雨のふるが如しと思食べし。
抑八日は各各御父釈迦仏の生させ給候し日也。彼日に三十二のふしぎあり。一には一切の草木に花さきみなる。二には大地より一切の宝わきいづ。三には一切のでんばた(田畠)に雨ふらずして水わきいづ。四にはよるへんじてひるの如し。五には三千世界に歎のこゑなし。如是吉瑞の相のみにて候し。是より已来今にいたるまで二千二百三十余年が間、吉事には八日をつかひ給候也。
然るに日本国皆釈迦仏を捨させ給て候に、いかなる過去の善根にてや法華経と釈迦仏とを御信心ありて、各々あつまらせ給て八日をくやう申させ給のみならず、山中の日蓮に華かう(香)ををくらせ候やらん。たうとし、たうとし。恐々。 正月七日 日蓮 [花押] 人々御返事