大白牛車御消息
421 大白牛車御消息
抑法華経の大白牛車と申は、我も人も法華経の行者の乗べき車にて候也。彼車をば法華経譬喩品と申に懇に説せ給て候。但し彼御経は羅什、存略の故に委は説給はず。天竺の梵品には車の荘り物、其外、聞・信・戒・定・進・捨・慚の七宝まで委く説給ひて候を、日蓮あらあら披見に及候。
先此車と申は縦広五百由旬の車にして、金の輪を入れ、銀の棟をあげ、金の縄を以て八方へつり縄をつけ、三十七重のきだはしをば銀を以てみがきたて、八万四千の宝の鈴を車の四面に懸られたり。三百六十ながれのくれなひの錦旛を玉のさほ(棹)にかけながし、四万二千の欄干には四天王の番をつけ、又車の内には六万九千三百八十余体の仏菩薩宝蓮華に坐し給へり。帝釈は諸の眷属を引つれ給ひて千二百の音楽を奏し、梵王は天蓋を指懸、地神は山河大地を平等に成し給ふ。故に法性の空に自在にとびゆく車をこそ、大白牛車とは申なれ。我より後に来り給はん人々は、此車にめされて霊山へ御出有べく候。日蓮も同じ車に乗て御迎にまかり向ふべく候。南無妙法蓮華経 南無妙法蓮華経。 日蓮 花押