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地引御書

第二巻 定本番号 20416 弘安4(1281) 分類: 真蹟曽存

祖寿: 60 著作地: 身延 真蹟: 身延山(曽) 

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    416   地引御書
坊は十間四面に、またひさしさしてつくりあげ、二十四日に大師講並延年、心のごとくつかまつりて、二十四日の戌亥の時、御所にすゑ(集会)して、三十余人をもつて一日経かき(書)まいらせ、並申酉の刻に御供養すこしも事ゆへなし。
坊は地ひき、山づくりし候しに、山二十四日、一日もかた時も雨ふる事なし。十一月ついたちの日、せうばう(小坊)つくり、馬やつくる。八日大坊のはしら(柱)だて、九日十日ふき(葺)候了。しかるに七日大雨、八日九日十日はくもりて、しかもあたゝかなる事、春の終のごとし。十一日より十四日までは大雨ふり、大雪下て、今に里にきへず。山は一丈二丈雪こほりて、かたき事かねのごとし。二十三日四日は又そらはれ(晴)て、さむからず。人のまいる事、洛中かまくらのまち(町)の申酉の時のごとし。さだめて子細あるべきか。
次郎殿等の御きうだち(公達)、をや(親)のをほせと申、我心にいれてをはします事なれば、われと地をひき、はしら(柱)をたて、とうひやうえ(藤兵衛)・むま(右馬)の入道・三郎兵衛尉等已下の人々、一人もそらく(疎略)のぎ(義)なし。坊はかまくらにては一千貫にても大事とこそ申候へ。
ただし一日経は供養しさして候。其故は御所念の叶せ給て候ならば供養しはて候はん。なにと申て候とも、御きねん(祈念)かなはずば、言のみ有て実なく、華さいてこのみ(果)なからんか。いまも御らんぜよ。此事叶ずば、今度法華経にては仏になるまじきかと存候はん。叶て候はば、二人よりあひまいらせて、供養しはてまいらせ候はん。神ならは(習)すはねぎ(祢宜)からと申。此事叶ずば法華経信じてなにかせん。事々又々申べく候。恐々。   十一月廿五日  日蓮 [花押]   南部六郎殿