妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

松野殿女房御返事

第二巻 定本番号 20378 弘安3(1280) 分類: その他

祖寿: 59 著作地: 身延 

    378   松野殿女房御返事
白米一斗・芋一駄・梨子一篭・名荷・はじかみ・枝大豆・ゑびね(山葵)、旁の物給候ぬ。
濁れる水には月住ず。枯たる木には鳥なし。心なき女人の身には仏住給はず。法華経を持つ女人は澄る水の如し。釈迦仏の月宿らせ給。譬へば女人の懐み始めたるには、吾身には覚えねども、月漸く重なり、日も屡過れば、初にはさかんと疑ひ、後には一定と思ふ。心ある女人はをのこご(男子)をんな(女)をも知也。法華経の法門も亦かくの如し。南無妙法蓮華経と心に信じぬれば、心を宿として釈迦仏懐まれ給。始はしらねども、漸く月重なれば心の仏、夢に見え、悦こばしき心漸く出来し候べし。法門多しといへども止候。法華経は初は信ずる様なれども後遂る事かたし。譬へば水の風にうごき、花の色の露に移るが如し。何として今までは持たせ給ぞ。是偏へに前生の功力の上、釈迦仏の護給歟。たのもしし、たのもしし。委は甲斐殿申べし。   九月一日   日蓮  花押   松野殿女房  御返事