窪尼御前御返事
369 窪尼御前御返事
仏の御弟子の中にあなりち(阿那律)と申せし人は、こくぼん(斛飯)王の御子、いえにたからをみてておはしき。のちに仏の御でしとなりては、天眼第一のあなりちとて、三千大千世界を御覧ありし人。法華経の座にては、普明如来とならせ給。そのさきのよ(前世)の事をたづぬれば、ひえ(稗)のはん(飯)を辟支仏と申仏の弟子にくやう(供養)せしゆへなり。
いまの比丘尼は、あわ(粟)のわさごめ(早稻)山中にをくりて法華経にくやう(供養)しまいらせ給。いかでか仏にならせ給はざるべき。恐々謹言。 六月二十七日 日蓮 [花押] くぼの尼御前 [御返事]