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中務左衛門尉殿御返事二病鈔

第二巻 定本番号 20295 弘安1(1278) 分類: 真蹟現存(完存orほぼ完存)

祖寿: 57 対告衆: 四條 著作地: 身延 真蹟: 京都立本寺 

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    295   中務左衛門尉殿御返事
夫人に二病あり。一には身の病。所謂地大百一・水大百一・火大百一・風大百一、已上四百四病。此病は治(持)水・流水・耆婆・偏鵲等の方薬をもつて此を治す。二は心の病。所謂三毒乃至八万四千病也。仏に有ざれば二天・三仙も治がたし。何況神農・黄帝の力及べしや。
又心の病に重々の浅深分れたり。六道の凡夫の三毒・八万四千の心の病をば小乗三蔵・倶舎・成実・律宗の仏此を治す。大乗華厳・般若・大日経等の経々をそしりて起る三毒八万の病をば、小乗をもつて此を治れば、かへりては増長すれども、平愈全くなし。大乗をもて此を治すべし。又諸大乗経の行者の法華経を背て起る三毒八万の病をば、華厳・般若・大日経・真言・三論等をもつて此を治ればいよいよ増長す。譬へば木石等より出たる火は水をもつて消やすし。水より起る火は水をかくればいよいよ熾盛に炎上高くあがる。
今の日本国去今年の疫病は四百四病にあらざれば華他・偏鵲が治も及ず。小乗・権大乗の八万四千の病にもあらざれば諸宗人々のいのりも叶はず。かへりて増長するか。設今年はとどまるとも年々に止がたからむか。いかにも最後に大事出来して後ぞ定る事も候はんずらむ。法華経云 若修医道 順方治病更増他疾 或復致死 而復増劇。涅槃経云 爾時王舎大城阿闍世王○遍体生瘡。乃至如是瘡者従心而生。非四大起。若言衆生有能治者 無有是処[云云]。妙楽云智人知起 蛇自識蛇[云云]。此疫病阿闍世王如瘡。彼非仏難治。此非法華経難除。
将又日蓮下痢去年十二月卅日事起、今年六月三日・四日、日々に度をまし月々に倍増す。定業かと存処に貴辺の良薬を服てより已来、日々月々に減じて今百分の一となれり。しらず、教主釈尊の入かわりまいらせて日蓮を扶け給か。地踊の菩薩の妙法蓮華経の良薬をさづけ給るかと疑候なり。くはしくは筑後房申べく候。
又追申。きくせんは今月二十五日戌の時来て候。種種の物かずへつくしがたし。ときどの(富木殿)ゝかたびらの申候べし。又女房の御をゝぢの御事。なげき入て候よし申せ給候へ。恐々謹言。   六月廿六日   日蓮  [花押]   中務左衛門尉殿  [御返事]