松野殿御返事
261 松野殿御返事
鵞目一貫文・油一升・衣一・筆十管給候。今に始めぬ御志、申尽がたく候へば法華経釈迦仏に任せ奉り候。
先立より申候。但在家の御身は余念もなく日夜朝夕南無妙法蓮華経と唱候て、最後臨終の時を見させ給へ。妙覚の山に走り登り四方を御覧ぜよ。法界寂光土にして瑠璃を以て地とし、金縄を以て八の道をさかひ、天より四種の花ふり、虚空に音楽聞え、諸仏菩薩は皆常楽我浄の風にそよめき給へば、我等も必ず其数に列ならん。法華経はかゝるいみじき御経にてをはしまいらせ候。
委細はいそぎ候間申さず候。恐恐謹言。 建治三年[丁丑]九月九日 日蓮 [花押] 松野殿 [御返事] 追申候。目連樹十両計給候べく候。