上野殿御返事
252 上野殿御返事
むぎひとひつ(一櫃)、かわのり五條、はじかみ六十給了。いつもの御事に候へばをどろかれず、めづらしからぬやうにうちをぼへて候は、ぼむぶの心なり。
せけんそうそうなる上、をゝみや(大宮)のつくられさせ給へば、百姓と申、我内の者と申、けかちと申し、ものつくりと申、いくそばくこそいとまなく御わたりにて候らむに、山のなかのすまいさこそとをもひやらせ給て、とりのかいこ(雛)をやしなうがごとく、ともしびにあぶらをそうるがごとく、かれたるくさにあめのふるがごとく、うへたる子にちをあたうるがごとく、法華経の御いのちをつがせ給事、三世の諸仏を供養し給へるにてあるなり。十方の衆生の眼を開く功徳にて候べし。尊しとも申計なし。あなかしこあなかしこ。恐恐謹言。 七月十六日 日蓮 [花押] 進上 上野殿 [御返事]