経王御前御書
114 経王御前御書
種種御送物給候畢。法華経第八妙荘厳王品と申には、妙荘厳王と浄徳夫人とは浄蔵・浄眼と申太子に被導給と説れて候。経王御前を儲させ給て候へば、現世には跡をつぐべき孝子也。後生には又被導仏にならせ給べし。
今の代は濁世と申して乱れて候世也。其上眼前に世の中乱れて見え候へば、皆人今生には弓箭の難に値て修羅道におち、後生には悪道疑なし。而るに法華経を信ずる人人こそ仏には成べしと見え候へ。御覧ある様にかゝる事可出来見へて候。故に昼夜に人に申聞せ候しを、用らるゝ事こそなくとも、科に行はるる事は無謂事なれども、古も今も人の損ぜんとては善言を用ぬ習なれば、終には用られず世の中亡んとする也。是偏に法華経釈迦仏の御使を責る故に梵天帝釈日月四天等の責を蒙て候也。又世亡び候とも日本国は南無妙法蓮華経とは人ごとに唱へ候はんずるにて候ぞ。如何に申さじと思とも毀らん人には弥申聞すべし。命生て御坐ば御覧有べし。又如何に唱とも日蓮に怨をなせし人人は先必堕無間地獄無量劫後成日蓮之弟子可成仏。恐恐謹言。 日蓮[花押] 四条金吾殿御返事