妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

同一鹹味御書

第一巻 定本番号 27 弘長1(1261) 分類: その他

祖寿: 40 著作地: 伊豆 伊東 

    27  同一鹹味御書
夫味に六種あり。一には淡・二には鹹・三には辛・四には酸・五には甘・六には苦なり。百味の膳を調ふといへども一の鹹の味なければ大王の膳とならず。山海の珍物も鹹なければ気味なし。
大海に八の不思議あり。一には漸漸転深。二には深難得底。三には同一鹹味。四には潮不過限。五には有種種宝蔵。六には大身衆生在中居住。七には不宿死屍。八には万流大雨収之不増不減なり。
漸漸転深者、法華経は凡夫無解より聖人有解に至るまで皆仏道を成ずるに譬るなり。深難得底者、法華経は唯仏与仏の境界にして等覚已下は極むることなきが故なり。
同一鹹味者、諸河に鹹なきは諸教に得道なきに譬ふ。諸河の水大海に入て鹹となるは諸教の機類法華経に入て仏道を成ずるに譬ふ。
潮不過限者、妙法を持つ人寧身命を失するとも不退転を得るに譬ふ。有種種宝蔵者、諸仏菩薩万行万善諸波羅蜜の功徳妙法に納まるに譬ふ。
大身衆生所居住処者、仏菩薩大智慧あるが故に大身衆生と名く。大身・大心・大荘厳・大調伏・大説法・大勢・大神通・大慈・大悲おのづから法華経より生ずるが故なり。
不宿死屍者永く謗法一闡提を離るゝが故也。不増不減者、法華の意は一切衆生の仏性同一性なるが故也。蔓草漬たる桶瓶の中の鹹は大海の鹹に随て満干ぬ。
禁獄を被る法華の持者は桶瓶の中の鹹の如く、火宅を出給へる釈迦如来は大海の鹹の如し。法華の持者を禁るは釈迦如来を禁るなり。梵釈四天も如何不驚給。
十羅刹女頭破七分の誓ひ此時に非んば何の時か果し給ふべき。頻婆娑羅王を禁獄せし阿闍世早く現身に大悪瘡を感得しき。法華の持者を禁獄する人、何ぞ現身に悪瘡を不感耶。   日蓮 花押