断片54
断54
[七] 諍そひし時、仙経等やけにき。此の経□経に対せざりし時は、萩につみこめてやきしに焼ざりき□□□やけぬるなり。□□□仙経は天竺 にして焼亡に□ては焼しぞかし。仏教の内にても又々かくのごとし。華厳経は一権一実一妄語一真実。方等経は三権一実三妄語 [八]一真実。般若経は二権一実二妄語一真実。阿含経は出世間の一権なり。世間に対すれば実語なれども、仏教の中の妄語なり。大日経・金剛頂経・蘇悉地経の両部の真言は三権一実三妄語一実語、法華経に対せは一切経一向妄語となるべし。而を漢土にては善無畏三蔵、大日経の真言と法華経とをは一義二経になしぬ。其上に印と真言とを加て超過と[云云]。純円の法華経を帯権の大日経に混合しつれば、法華経かへて帯権の経となり、経王、国に失しかば世王又たへて、或は大王臣下にをかされ、或は他国にあなづられ、やうやくすぐるほどに、禅宗・念仏宗等の邪法かさなりて、終に主しなき国となりぬ。仏法は主体なり、世法は影響なり。体曲れは影なゝめなりというは此なり。日本国は又桓武の御世に(第9紙欠)
[十] やうやく真言まさりになりて、座主は真言座主になり給ぬ。名は天台座主、所領は天台の所領、其人の能は真言なり。又真言かとをもへば法華経の円頓の受戒あり。鼠にもあらず、へんぷく鳥にもあらず。法華経にもあらず、大日経にもあらず。きさきを民の犯したるが太子を生たるがごとし。詮を論すれは 鶣鶝房是也。師子国と申国は父は師子、母は人なり。これ国の始なるゆへに今にいたるまで彼国の人の心師子のごとし。漢日種国と申国は唐土の王女に日天のあわせ給て