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十二因縁御書

第三巻 定本番号 3 康元1(1256) 分類: その他

祖寿: 35 著作地: 遊学中 

   10   十二因縁御書
凡成仏者、知我身仏に成とは申也。知我身者、本よりの仏と知を云也。一切衆生螻蟻蚊まで生を受る程のもの、身体は六根・六境・六識の十八界をもて組立たる身也。此衆生は五陰和合の身也。釈云、五陰和合名為衆生と。此五陰は十二因縁なる故也。
其十二因縁とは、無明・行・識・名色・六入・触・受・愛・取・有・生・老死。此十二因縁をば三世両重の因果と云。初・八・九此三は煩悩也。第二・第十此二は業也。識・名色・六入・触・受・生・老死此七は皆是苦也。十二因縁とは煩悩・業・苦の三道也。
無明・行の二は過去の二因也。識・名色・六入・触・受五は現在の五果也。愛・取・有の三は現在の三因也。生・老死の二は未来の両果也。身三者殺・盗・婬苦。口四者悪口・両舌・妄語・綺語也業。意三者貪・瞋・癡 煩悩。
此十二因縁を如法に信じ持てば、即身成仏無疑。此十二因縁より外に無仏法即法華経也と我身を知る故也。是をしらざるは即謗法也。若人不信毀謗此経則断一切世間仏種是也。我身より外に別に無仏無法華経也。縁起非縁生は過去二支。縁生非縁起は未来二支。縁起縁生は中間八支。非縁起非縁生は無為法也。
十二時者、無明は過去の諸結の時なり。行は是過去の諸行の時なり。識は是相続心及眷属の時なり。名色者已に受生相続未生四種色根、六入未具時なり。胎内五位者、一には歌羅邏、二には阿浮曇、三には閉尸、四には健南、五には波羅奢伽。如此胎外に生じて人と成る、是を衆生とする也。決六云頭円象天足方象地身内空種即是虚空。腹温法春夏背剛法秋冬。四体法四時。大節十二法十二月小節三百六十法三百六十日。鼻息出入法山沢渓谷中風口息出入法虚空中風眼法日月開閉法昼夜髪法星辰眉法北斗脈法江河骨法玉石肉法土地毛法叢林五臓在天法五星在地法五岳。身の肉は土、骨の汁は水、血は火、皮は風、筋は木。
人の六根は眼は物の色を見、耳は物の声をきく、鼻は物の香をかぐ、舌は一切の物の味をしる。身は一切の寒・熱・麁・細にふれて苦痛するなり。此五根の功能は現に目に見えしる間やすし。第六の意と云物は、一切衆生我等が身中に持ながら、都て不知之也。我心さへ不知不見、況や人の上をや。当座の人人知食れんや。仏も心をば不思議と仰せられたり。況や其已下をや。不知故は、此心は長・短・方・円の形を離れたり。青・黄・赤・白・黒の色にも非ず。言語道断心行所滅の法なり。行住坐臥語黙作作因縁表白の喩べきに非ず。絵に書作り出すべき物にも非ず。是を習学する物にも非ず。仏より記せられたることもなし。神の託宣に承る事もなし。親師匠の手より譲られたる事もなし。天よりふり、地より涌たる物にも非ず。極大不思議の物也。かゝるくせものなるを天台・妙楽二聖人の御釈玄文云心如幻焔。但有名字。名之為心。適言其有不見色質。適言其無復起慮想。不可以有無思度。故名心為妙。妙心可軌。称之為法。心法非因非果。能如理観即弁因果。是名蓮華。由一心成観亦転教余心。名之為経矣。籤云言有則一念都無。況有十界質像也。言無則復起三千慮想。況一界念慮耶。不可以此有無思。故則一念心中道冷然。故知。心是妙也。爰知。我等心法華経也。法華経我等心也。
法華経をしらざるは則我身をしらざる也。所謂不知身者。移宅に忘妻是也。されば仏にならざる者あり。後世の為に法華経を忘れたる者是なり。故に法華経を信ぜず謗る者は、背諸仏背諸天背父母背主師背山背海背日月背一切物也。薬王十喩可見合。玄云眼・耳・鼻・舌皆是寂静門。離此無別寂静門。籤云実相常住如天之甘露是不死之薬。今釈妙法能通実相。故名為門矣。寂静者法華経なり。甘露者法華経なり。止三云如来無礙智慧経巻具在衆生身中。顛倒覆之不信不見。
倩物の心を案ずるに、一切衆生等の六根は悉く法華経の体なりけりと、能能目をとぢ、心をしづめてつくづく御得意候へ。心が法華経の体ならんには、五根が法華の体にてある事は無疑。心は王也。五根は眷属也。目に見、耳に聞等の事は、心がみせきかせするなり。五根の振舞は併ら心が計ひなり。物を見るも心が所作なれば、眼も法華経也。耳に聞も心が計ひなれば、耳即法華経也。余根以て同之。死ねば随て五根も去る。五根の当体は死ねども其形は不滅。然れども心がなければ、いつか死人の物を見聞や。合譬謗法華亦如是。我等が心法華にてあるを、而も謗法華心を失するは六根不具也。法華経の心を失して爾前経可立哉。謗法華不信にては、爾前諸宗等の小乗権法等は、心去たる死骸にてこそあらめ云云。
今法華宗は法華経と云我等が心を捨ざれば、死骸六根随て不失。心即五根、五根即心なれば、心法成仏すれば色法共に成仏す。色心不二にして内外相具せり云云。釈云蓮華八葉表彼八教蓮台唯一表八帰一。一中之八、八中一、常一常八、唯一唯八、成一成八、無前無後、止云夫一心具十法界介爾有心即具三千。弘云一身一念遍於法界。義云三千と云も、法界と云も、法華経の異名也。経云閻浮提内広令流布。閻浮とは天地也、父母也。又云閻浮提人病之良薬。良薬は天地、父母也。如此我等衆生が身は併がら法華の体にて有を、全く法華経を他国異朝の物と思ひ、天地水火の様に余処余処に思作也。加様に目出たく貴き身を捨終て、剰へ謗じて悪処に落んは、浅口惜かるべきなり。されば信じて我身のいみじきやうは、六巻随喜功徳品にあり。謗じて我身の悪き様は、八巻普賢品にあり。普賢経云此大乗経典諸仏宝蔵。十方三世諸仏眼目。出生三世諸如来種。持此経者即持仏身即行仏事云云。譬喩品云若人不信毀謗此経則断一切世間仏種。普賢経云諸仏如来真実法子。汝行大乗不断法種云云。   日蓮[花押]