右衛門太夫殿御返事
355 右衛門太夫殿御返事
抑久不申承候之処御文到来候畢。殊にあをきうら(青裏)の小袖一・ぼうし(帽子)一・をび一すぢ・鵞目一貫文・くり一篭たしかにうけとりまいらせ候。
当今は末法の始の五百年に当りて候。かゝる時刻に上行菩薩御出現あつて、南無妙法蓮華経の五字を日本国の一切衆生にさづけ給べきよし経文分明也。又流罪死罪に行るべきよし明かなり。日蓮は上行菩薩の御使にも似たり。此法門を弘る故に、神力品云如日月光明能除諸幽冥斯人行世間能滅衆生闇等[云云]。此経文に斯人行世間の五の文字の中の人の文字をば誰とか思食す。上行菩薩の再誕の人なるべしと覚えたり。経云於我滅度後応受持此経是人於仏道決定無有疑[云云]。貴辺も上行菩薩の化儀をたすくる人なるべし。 弘安二年[己卯]十二月三日 日蓮 [花押] 右衛門太夫殿 [御返事]