富城殿女房尼御前御書
352 富城殿女房尼御前御書
いよ(伊予)房は学生になりて候ぞ。つねに法門きかせ給候へ。 はるかにみまいらせ候はねば、をぼつかなく候。たうじ(当時)とてもたのしき事は候はねども、むかしはことにわびしく候し時より、やしなわれまいらせて候へば、ことにをん(恩)をもくをもひまいらせ候。それについては、いのちはつるかめのごとく、さいわいは月のまさり、しを(潮)のみつがごとくとこそ、法華経にはいのりまいらせ候へ。
さてはえち(越)後房・しもつけ房と申僧をいよどのにつけて候ぞ。しばらくふびんにあたらせ給へと、とき殿には申させ給。恐恐謹言。 十一月二十五日 日蓮 [花押] 富城殿女房尼御前