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四條金吾殿御返事剣形書

第二巻 定本番号 20347 弘安2(1279) 分類: その他

祖寿: 58 著作地: 身延 

    347   四條金吾殿御返事
先度強敵とりあひ(取合)について御文給き。委見まいらせ候。さてもさても敵人にねらはれさせ給しか。前々の用心といひ、又けなげといひ、又法華経の信心つよき故に、難なく存命せさせ給、目出たし目出たし。
夫運きはまりぬれば兵法もいらず。果報つきぬれば所従もしたがはず。所詮運ものこり、果報もひかゆる故なり。ことに法華経の行者をば諸天善神守護すべきよし、属累品にして誓状をたて給、一切の守護神・諸天の中にも我等が眼に見へて守護し給は日月天也。争か信をとらざるべき。ことにことに日天の前に摩利支天まします。日天 法華経の行者を守護し給はんに、所従の摩利支天尊すて給べしや。序品の時、名月天子・普光天子・宝光天子・四大天王与其眷属万天子倶と列座し給ふ。まりし天は万天子の内なるべし。もし内になくば地獄にこそおはしまさんずれ。今度の大事は此天のまほりに非ずや。彼天は剣形を貴辺にあたへ、此へ下りぬ。此日蓮は首題の五字を汝にさづく。法華経受持のものを守護せん事疑あるべからず。まりし天も法華経を持て一切衆生をたすけ給。臨兵闘者皆陳列在前の文も法華経より出たり。若説俗間経書 治世語言 資生業等 皆順正法とは是也。
これにつけてもいよいよ強盛に大信力をいだし給へ。我が運命つきて、諸天守護なしとうらむる事あるべからず。将門はつはものゝ名をとり、兵法の大事をきはめたり。されども王命にはまけぬ。はんくひ(樊_)ちやうりやう(張良)もよしなし。たゞ心こそ大切なれ。いかに日蓮いのり申とも、不信ならば、ぬれ(濡)たるほくちに火をうちかくるがごとくなるべし。はがみをなして強盛に信力をいだし給べし。すぎし存命不思議とおもはせ給へ。なにの兵法よりも法華経の兵法をもちひ給べし。諸余怨敵皆悉摧滅の金言むなしかるべからず。兵法剣形の大事も此妙法より出たり。ふかく信心をとり給へ。あへて臆病にては叶べからず候。恐恐謹言。   十月二十三日   日蓮  花押   四條金吾殿  御返事