兵衛志殿女房御返事
264 兵衛志殿女房御返事
銅御器二給畢。釈迦仏三十御年、仏になり始てをはし候時、牧牛女と申せし女人、乳のかい(粥)をに(煮)て仏にまいらせんとし候し程に、いれてまいらすべき器なし。毘沙門天王等の四天王、四鉢を仏にまいらせたりし、其鉢をうちかさねてかい(粥)をまいらせしに仏にはならせ給。其鉢、後には人ももら(盛)ざりしかども、常に飯のみちし也。後馬鳴菩薩と申せし菩薩、伝へて金銭三貫ほう(報)じたりし也。今御器二を千里にをくり、釈迦仏にまいらせ給へば、かの福のごとくなるべし。委は申さず候。 建治三年[丁丑]十一月七日 日蓮 [花押] 兵衛志殿女房 [御返事]