四條金吾殿御返事
219 四條金吾殿御返事
一切衆生 南無妙法蓮華経と唱るより外の遊楽なきなり。経云衆生所遊楽[云云]。此文あに自受法楽にあらずや。衆生のうちに貴殿もれ給べきや。所とは一閻浮提なり。日本国は閻浮提の内なり。遊楽とは我等が色心依正ともに一念三千自受用身の仏にあらずや。法華経を持奉より外に遊楽はなし。現世安穏・後生善処とは是なり。
ただ世間の留難来るとも、とりあへ給べからず。賢人聖人も此事はのがれず。ただ女房と酒うちのみて、南無妙法蓮華経ととなへ給へ。苦をば苦とさとり、楽をば楽とひらき、苦楽ともに思合て、南無妙法蓮華経とうちとなへゐ(唱居)させ給へ。これあに自受法楽にあらずや。いよいよ強盛の信力をいたし給へ。恐恐謹言。 建治二年[丙子]六月二十七日 日蓮 [花押] 四條金吾殿 [御返事]