真間釈迦仏御供養逐状
72 真間釈迦仏御供養逐状
釈迦仏御造立の御事。無始曠劫よりいまだ顕れましまさぬ己心の一念三千の仏、造り顕しましますか。はせまいりてをがみまいらせ候わばや。欲令衆生開仏知見乃至然我実成仏已来は是也。
但し仏の御開眼の御事は、いそぎいそぎ伊よ(豫)房をもてはたしまいらせさせ給候へ。法華経一部、御仏の御六根によみ入まいらせて、生身の教主釈尊になしまいらせて、かへりて迎入まいらせさせ給へ。
自身並に子にあらずばいかんがと存候。御所領の堂の事等は、大進の阿闍梨がききて候。かへすがへすをがみ結縁しまいらせ候べし。
いつぞや大黒を供養して候し其後より世間なげかずしておはするか。此度は大海のしほの満るがごとく、月の満ずるが如く、福きたり命ながく、後生は霊山とおぼしめせ。 九月二十六日 日蓮〔花押〕 進上 富木殿御返事