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秋元殿御返事

第一巻 定本番号 45 文永3(1266) 分類: その他

祖寿: 45 著作地: 保田 

     45  秋元殿御返事
御文委承候畢。御文云、末法の始五百年にはいかなる法を弘むべしと思ひまいらせ候しに、聖人の仰を承候に、法華経の題目に限て可弘由聴聞申して御弟子の一分に定り候。殊に五節供はいかなる由来、何なる所表、何を以て正意としてまつり候べく候や〔云云〕。
夫此事は日蓮委く知る事なし。雖然粗得意候。根本大師の御相承ありげに候。総じて真言天台両宗の習也。委は曽谷殿へ申候。次での御時は御談合あるべき歟。
先五節供の次第を案ずるに、妙法蓮華経の五字の次第の祭也。正月は妙の一字のまつり、天照太神を歳の神とす。三月三日は法の一字のまつり也。辰を以て神とす。五月五日は蓮の一字のまつり也。午を以て神とす。
七月七日は華の一字の祭也。申を以て神とす。九月九日は経の一字のまつり、戍を以て神とす。如此得心、南無妙法蓮華経と唱へさせ給へ。現世安穏後生善処疑なかるべし。
法華経の行者をば一切の諸天不退に守護すべき経文分明也。経の第五云諸天昼夜常為法故而衛護之〔云云〕。又云天諸童子以為給使刀杖不加毒不能害〔云云〕。諸天者梵天・帝釈・日月・四大天王等也。法者法華経也。
童子者七曜・二十八宿・摩利支天等也。臨兵闘者皆陳列在前是又刀杖不加の四字也。此等は随分の相伝也。能能案じ給べし。第六云一切世間治生産業皆与実相不相違背〔云云〕。五節供の時も唯南無妙法蓮華経と唱へて悉地成就せしめ給へ。委細は又又可申候。
次に法華経は末法の始五百年に弘まり給ふべきと聴聞仕り御弟子となると仰候事。師檀となる事は三世の契り種熟脱の三益別人を求んや。在在諸仏土常与師倶生若親近法師速得菩提道随順是師学得見恒沙仏の金言違ふべきや。
提婆品云所生之処常聞此経の人はあに貴辺にあらずや。其故は次上に未来世中若有善男子善女人と見えたり。善男子とは法華経を持つ俗の事也。弥信心をいたし給べし、信心をいたし給べし。恐恐謹言。
正月十一日   日蓮〔花押〕  秋元殿御返事  安房国ほた(保田)より出