大黒天神供養相承事
19 大黒天神供養相承事
得世間楽及涅槃楽貧窮衆生与福力病衆生与良薬無智者成智者短命者成長命悪心者成善心。
一 於我朝大黒天神出現の初を申せば、仁王五十代桓武天皇の御宇に、伝教大師叡山坂本に於て対談候なり。色黒く、長短く、形円にして目細く、額にふりし黒き烏帽子をかぶり、後に袋をかつぎ、手に槌を持て同行なく只一人。伝教大師是に行逢給て、汝誰人ぞと問給。我大黒天神なりと云て、貧衆生に福を為与出現すと答。色黒きは如何と問給。無明即法性深理の表示と答ふ。長短く形円成は如何と問。是即万法円備を顕すなりと答。老体如何と問。久遠正覚、歳長て世間相常住を顕すなりと答。独眷属無之如何と問。唯我一人能為救護との答なり。目細く笑顔成は如何と問給。慈眼視衆生の心なりと答。偖て後の袋如何と問給。福聚海無量と答。偖て本地如何と問。皆令離苦得安穏楽と答。偖て叡山へ同心有勧請。
伝教大師貴辺一日に如何程人を学と問。一日に一万人学す、日本には毎日一千人可学答。其時伝教大師曰、日に合て三千人宛可学と云大願あり。其時大黒天神曰、然ば我三千人の養育を可請取なりと答。故に尤三塔に各一尊宛大黒天神を祷、三処に勧請し、日に三千人の学の衆生に福を与給。大黒天神の尊形と云者是別事に非。普門品の慈眼視衆生福聚海無量と可得意なり。仍て忝も本地久遠釈迦如来是なり。深き相伝習如此。可秘云云。右此旨守、大黒天神信者現世安穏福祐自在来世成仏得脱無疑。縦毎月毎日信事難成者、六斉甲子供物調可有御祭祀者也。是秘中の秘なり。
文永元年[太歳甲子]九月十七日 日蓮[花押]
兵衛志殿 御返事
文永元年[太歳甲子]九月十七日 日蓮[花押]
兵衛志殿 御返事