本尊供養御書(報南條平七郎書)
234 本尊供養御書
法華経御本尊御供養の御僧膳料米一駄・蹲鴟一駄送給候畢。
法華経の文字は六万九千三百八十四字、一一の文字は我等が目には黒き文字と見え候へども、仏の御眼には一一に皆御仏也。譬ば金粟王と申せし国王は沙を金となし、釈摩男と申せし人は石を珠と成し給ふ。玉泉に入ぬる木は瑠璃と成る。大海に入ぬる水は皆鹹し。須弥山に近づく鳥は金色となる也。阿伽陀薬は毒を薬となす。法華経の不思議又如是。凡夫を仏に成し給ふ。蕪は鶉となり、山の芋はうなぎ(鰻)となる。世間の不思議以如是。何況法華経の御力をや。犀の角を身に帯すれば大海に入るに水、身を去る事五尺。栴檀と申香を身にぬれば、大火に入るに焼ることなし。法華経を持まいらせぬれば、八寒地獄の水にもぬれず、八熱地獄の大火にも焼けず。法華経第七云火不能焼水不能漂等[云云]。
事多しと申せども年せまり御使急ぎ候へば筆を留候畢。 建治二年[丙子]十二月日 日蓮 [花押] 南條平七郎殿 [御返事]