妙傳寺聖典個人版 新・電子聖典

観心本尊得意鈔

第二巻 定本番号 20199 建治1(1275) 分類: その他

祖寿: 54 対告衆: 富木 著作地: 身延 

    199   観心本尊得意鈔
鵞目一貫文、厚綿白小袖一、筆十管、墨五丁給畢。  身延山如知食冬嵐はげしく、ふり積雪は不消。極寒の処にて候間、昼夜行法もはだ(膚)うすにては難堪辛苦にて候[仁]、此小袖を著は不可有思候也。商那和修は付法蔵の第三聖人也。此因位を仏説云乃往過去病比丘[仁]与衣故に、生生世世[仁]不思議自在の衣得たり。今御小袖は似彼。此功徳は日蓮は不可知之。併奉任釈迦仏畢。
抑今御状云教信御房観心本尊鈔未得等付文字迹門をよまじと疑心の候なる事、不相伝の僻見にて候歟。去文永年中[仁]此書の相伝は整足して貴辺[仁]奉候しが、其通を以可有御教訓候。所詮、在在処処仁迹門を捨よと書て候事は、今我等が読所の迹門にては候はず。叡山天台宗の過時の迹を破候也。設如天台・伝教法のまゝありとも、今至末法者去年の暦如。何況自慈覚已来迷大小権実大謗法同をや。然間像法時の利益無之。増於末法耶。
一北方の能化難云、爾前の経をば未顕真実と乍捨、安国論には爾前経を引、文証とする事自語相違と不審事、前前申せし如し。総じて一代聖教を大仁分て為二。一大綱・二網目也。初の大綱者、成仏得道の教也。成仏教者法華経也。次網目者、法華已前諸経也。彼諸経等は不成仏教也。成仏得道文言雖説之但有名字其実義法華有之。伝教大師決権実論云権智所作唯有名無有実義[云云]。但於権教成仏得道の外説相不可空。為法華網目なるが故[仁]。所詮、成仏大綱を法華仁説之、其余の網目は衆典明。為法華網目なるが故[仁]法華の証文引之可用也。其上、法華経にて可有実義を、爾前の経仁して名字計のゝしる事、全為法華也。然間、尤法華の証文となるべし。
問、法華を大綱とする証如何。答、天台当知此経唯論如来説教大綱不委細網目也。問、爾前を網目とする証如何。答、妙楽云皮膚毛綵出在衆典[云云]。問、成仏限法華云証如何。答、経云唯有一乗法無二亦無三[文]。問、爾前為法華証如何。答、経云雖示種種道其実為仏乗。委細雖申度候、心地違例して候程令省略候。恐恐謹言。  十一月二十三日  日蓮 [花押]   富木殿  [御返事]
帥殿物語しは、下総に目連樹と云木の候よし申候し。其木の根をほりて、十両ばかり、両方の切目には焼金を宛てて、紙にあつ(厚)くつゝみて、風ひかぬ様にこしら(拵)へて、大夫次郎が便宜に給候べきよし御伝あるべく候。